2014年2月13日木曜日

2014年3月の開講日











画像:今治市HPより
http://www.city.imabari.ehime.jp/shoukou/sakurai/index.html


もう暦の上では春ですね。

春といえば「桜」ですが、
江戸期に始まり、明治~昭和初期まで隆盛を極めた
「桜井漆器」をご存知でしょうか?

今治市のホームページに詳しく掲載されておりますが、
以下、簡単に申し上げます。

愛媛県今治市の桜井地方は松山藩に属しておりましたが、
江戸時代後期から天領になりました。

すると桜井の年貢米は幕府の御用米として、
別子銅山や大阪へ運搬されるようになり、廻船業が発達します。

「春は唐津、秋は漆器」と言い、帰りの船に焼き物や
黒江漆器などを積んで商売しましたが、
そのうち利益が大きい漆器のみを商う「椀船行商」が登場します。

とうとう、地元で漆器製造を始め「桜井漆器」として売りだしたところ、
比較的安価だったことや、月賦(月割)販売の方法を導入したことから、
九州の農村でたいへん喜ばれ、昭和初期までおおいに隆盛したそうです。
今ではおなじみの分割払いが、桜井発だったとは。

桜井漆器の隆盛は、月原久四郎が、重箱の隅の接合部分をじょうぶに作る「櫛指法」を
考案したことも、後押ししたようです。
安いだけではなく、丈夫だったんですね。

福岡の骨董市で、それと思われるものを見かけることがあります。
現在、伊予桜井漆器会館というところで作っているようです。


かつて四国は漆芸が盛んな地で、産地がいくつか存在しました。

香川県では、象谷塗(ぞうこくぬり)、後藤塗、蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆と、
多彩な技法が伝わっており、現在も漆芸研究所で後継者育成が図られています。

高知県には、明治時代に始まった土佐古代塗と称する塗り物をされている方が、
いらっしゃるようです。

徳島県には、「阿波半田塗」という塗り物があり、江戸中期から戦前の頃まで
盛んだったそうです。
多い時は300人もの職人さんがいたとか。
昭和45年に一度廃絶し、平成に入って竹内久雄さんが復活を試みたそうですが、
後継者のできぬまま竹内氏が他界し、とうとう途絶えてしまったようです。

昨年偶然にも

『宮本常一とあるいた昭和の日本23』
という本をジュンク堂で見つけ、
竹内久雄さんの記事を読み感銘を受けたばかりだったので、
昨年11月の訃報にふれ、たいへん心が痛みました。

漆の輸入が途絶えた時期に、自ら山へ入って漆掻きをした話や
進路に悩んでいるとき、叔父から説得され家業の漆芸を継ぐ決心をした話。
そこで初めて玉露を飲んだことなど、
竹内氏のエピソードを通して、
漆を支えてきた人々の息吹を
感じることができます。

激動の時代を乗り越え、
半田漆器に生涯を捧げた偉大な先人に心から敬意を表しつつ
ご冥福を祈りたいと思います。





さて、来月の開講日です。

<金曜日:天神教室>
3月 7・14・28日  
    ・・・9:30~12:00
※21日は祝日のため、お休みです。

<土曜日:姪浜教室>
3月 8・15・22・29日
    ・・・9:30~12:00
      13:00~16:00
※土曜日の午後は自習です。
  講習希望の方はご予約ください。